今月の「WIDE」(2004.9月号)~「船と木材」
「WIDE」という雑誌は木材利用・木材加工に関する業界誌のようなものだが、9月号にユニバーサル造船の瀬川正行氏が「船と木材」と題して木造船について書かれている。
中身としては、日本の古い木造船と、掃海艇について書かれている。
日本の古い木造船については、鎖国のために竜骨を備えた強固な外洋船が発達しなかったことについて述べられているが、この辺りのことは漂流民のストーリーテラーである吉村昭氏がよく書いていることである。吉村氏は、竜骨方式が使われなかった理由を、鎖国体制維持のために強固な船舶を造ることが禁じられそのために竜骨方式も禁じられていたというように述べられているが、瀬川氏は、幅広の厚板が容易に確保することができたということを理由に挙げておられる。厚板の確保は誘因で、禁じられていたというのが本当の理由のような感じがする。
さてさて、掃海艇だ。日本の掃海艇は木造船で、それは木造にすることによって磁気を減らすことができ機雷の爆発を防ぐことができるというようなその筋の人にはありきたりのことが書かれているのだが、筆者の瀬川氏が掃海艇の設計をしているというのが、すばらしく説得力がある。
せっかく、日本で(たぶん)数少ない木造船の設計者が書くのだから、もう少し紙数をさいてほしかった。
ユニバーサル造船株式会社
平成14年10月1日、日本鋼管株式会社と日立造船株式会社のそれぞれの船舶・海洋部門が統合してできた会社。
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