今月の「月刊むし」は年に1度の「ふりかえって」特集である。1年間の昆虫界の動きのダイジェストが載るので、トレンドをつかむには好適である。
さて、この中で特に目を引いたのは、表題のカワトンボ属の再整理が行われたということである。外部形態だけでなく、核DNA検索が基になっているということもミソである。
1種3亜種説をとる、井上 清, 谷 幸三「トンボのすべて」(トンボ出版)を出発点に整理すると、「トンボのすべて」では、
ニシカワトンボ Mnais pruinosa pruinosa Selys, 1853 (1)
ヒガシカワトンボ M. p. costalis Selys, 1869 (2)
オオカワトンボ M. p. nawai Yamamoto, 1956 (3)
としているが、
(1)-> M. pruinosa Selys, 1853 ニシカワトンボ
(2)+(3) -> M. costalis Selys, 1869 オオカワトンボ
で、決着ということのようだ。「月刊むし」の枝重夫氏の記述で注目されるのは、「和名には、命名規約や先取権がなく、種に与えられるものであって、その種を表す学名に対して作られているわけでない」ということだ。これを根拠に、林文男氏らが、M. pruinosaにカワトンボという和名を提唱しているのに対し、枝氏は、ニシカワトンボを提案している。
ということで、Mnais costalis Selys, 1869 オオカワトンボの写真(2004.4.25 但東町相田)。

2013.5.9付記
このあと、和名の変更があったようです。
M. pruinosa Selys, 1853 は、ニシカワトンボ(またはカワトンボ)からアサヒナカワトンボへ
M. costalis Selys, 1869 は、オオカワトンボからニホンカワトンボへ変更されたようですね。
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