今月の月刊地理(2005.9)
今月の月刊地理は、「特集:まちづくりの新トレンド」。人口減少で、都市がしぼみ、都市の中心地においても魅力的なまちのみが生き残る。いまこそ、まちづくりだ、ということのようだ。
特集中、目を引いたのは、千歳壽一氏の「新しいまちづくりと景観法」。出たっ。景観法。景観法といえば、豊岡市市民環境大学の今年の第1回目の講義だ。景観法と、国立マンション訴訟を絡めて考えると、景観を守るのは誰なんだろうというばくぜんとした疑問を持っていたが、ここで、明解に説明されている。
「景観法は、景観の維持や形成を、住民の権利としたものである。」 あまりの、明解さに唖然。国立マンション訴訟の第2審判決は、景観権は認められないというのが出発点であったはずだ。ま、マンション訴訟では、ことが起こった当時、景観法などなかったわけだから、不遡及原則により景観権はないということなんだろうな。
「自治体が景観行政に責任をもつ景観行政団体として認められると、・・・(景観行政を)強制力をもって推進する。」「一方で行政の独走を防ぐため、民間も含む景観協議会の活用が勧められている。」
ふむふむ、権利は住民にあるが、実行機関は「景観行政団体」として認められた自治体に限られると、また、その自治体の監視体制についても言及されているというのが、実行体制面から見た景観法というわけだ。
しかし、どういう景観が守るべき景観かというのが、大変に難しい問題だろう。住民の権利を行政が実行するというのも隔靴掻痒のようなところもある。現在、景観行政団体は86団体。今後、どのような景観行政がなされていくのかが注目される。
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