今月の月刊むし(2005.11月号)
今月の月刊むしは「カミキリ特集号」で、オールカミキリであり、なにかとわくわくすることが多く、やっぱり私はカミキリ屋だと再認識したしだいである。
特に高桑正敏氏が「非武装地帯の崩壊? -コブヤハズ類にいま何が起きているのか-」は、コブヤハズの現状を理解できるだけではなく、種とは何なのかについて考えさせられる記事である。
コブヤハズ類はミトコンドリアDNAの解析などで、コブヤハズ属はすべて1種と考えても良いほどだし、セダカコブもかなり近縁な種で、いままでこれが交雑してしまわなかったのは、非武装地帯と読んでもよい緩衝地帯を形成して交雑を避けていたと(高桑氏は)考えていた。ところが、近年、雑種の発見が相次ぎ、何らかの理由で非武装地帯が崩壊しているようだ。原因の一つはコブヤハズ属が好む人工林の増加であるが、非武装地帯がどのように緩衝地帯を形成していたのかについては、地形的に調査に適する場所は人工林に置き換えられてしまい、今となっては調査のしようもないのではないか。
というような文章である。いわゆる形態種とミトコンドリアDNA種の意味づけというのも摩訶不思議な感じがするのだけれど、けっきょく、コブヤハズ属の場合、そんな微妙な「ちがい」がつい最近まで、交雑せずに近くに住み分けていたというのが本当に不思議である。
それと、永幡さんのブナ林に関する連載が終わったと思ったら、今度は沿海州の連載が始まった。この手の連載が、月刊むしのスタイルとして定着しそうだ。
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