佐々木史郎著 「北方から来た交易民」
1年いじょう積読状態であったのをようやく読んだ。最初は、わけの分からん地名やら、民族名やらがいっぱい出てきて、とっつきにくいというか、読み進まない状況であったが、第3章でロシアが登場する辺りからは、大変面白くなってスピードアップして読了した。
この本で最も面白かったことは次の文章に集約できる(164ページ)。
日本側も清朝も、人を統治することを優先させる領土観を持って、アムール、樺太、北海道の領有を主張していたことが挙げられる。つまり、住民を支配下に収めることでその居住地が領土になるわけで、近代国家のように、初めに土地を領有してそこに国民を置くという考え方とは異なる。(略) その領土はあくまでも支配される人の範囲であるため、今日のような厳密な国境は引けない。
そして、そういう状況(一見、無領有状態)のところに、ロシアが入ってきて、国境を引いていく。ま、これが、よーするに現在の北方領土問題の根本に横たわっているのかもしれないなぁと思ったのであった。
筆者は、文化人類学者。歴史学と文化人類学者のつっこみの違いなどについてもちょっと述べられている。
たいへんに、面白い本であった。
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