地デジ敗北宣言? BS利用の同時放送へ
総務省と民放、NHKなど地上デジタル放送関係者は30日、地上デジタル放送の電波が届かない山間、離島などの難視聴世帯に対し、BS(放送衛星)を利用した地デジ番組の同時放送を09年度内に始める方針を固めた。12月中旬に正式決定する。
BSは地上波の代替には決してならない。これは、ここ12年間、地上波なしでBS、CSのみを見続けてきた私の見解である。
その理由は、地上波の放送は、そのコンテンツが地域密着型であることを最大の特徴としているからである。BSになくて、地上波にあるもの、それはローカルニュースや、ローカルな番組であり、それが地上波のアドバンテージである。地デジ番組の同時放送をBSで行うといっても、それは全国画一の放送にならざるを得ず、ローカルニュースの時間帯には、日本全国で、(おそらく)東京のローカルニュースを見せられることになるのである。
いままでのアナログな地上波は、先人たちの努力により、どんな片田舎でも何とか、すべての人が放送を見られるようになっていた。それは、送る側の努力だけでなく、受け側も、地域によってはお金を出し合ってテレビ組合を組織し、山の上に共視聴アンテナを上げ、草刈や見回りなどのメンテも地域で行い管理されてきたのである。こんなことができたのは、アナログ地上波は、ほどほどにローテクだったからだ。
いま、ハイテクの地デジを2011年までに完全普及させ、アナログ地上波を全廃させるという妄想は、帳尻あわせを、ローカルニュースが見られないBSでまかなおうとしており、これは、地デジの敗北宣言にしか見えない。
世帯数の少ないテレビ組合では、高価なデジタル共視聴システムを導入できるはずがない。そういった地域は、光ファイバーなどによるケーブルテレビにたよるか、そして、光ファイバーというようなインフラさえない地域にはBSで見なさいということなのである。せっかく、ローテクでの放送網が完成したのに、それをスクラップにしてである。
田舎の一人暮らしのおばあさんは、ハイテクを欲しているのではない。欲しているのは、身近なコンテンツのはずだ。
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