きょうの本 「パーフェクト・プラン」
最近、病院で時間を潰すことが必要な羽目になり、仕方なくという感じで病院の売店で品揃えの少ない中から買った本である。最近「アマディオン」でもよく話に登る「このミステリーがすごい!(略称「このミス」)」の第2回大賞受賞作でもあり、ま、たぶん、はずれではなかろうとは思ったが。
時間つぶしには最高だろう。かなり引き込まれるし、病院の待ち時間には最適の本だったと思う。話しは複雑だしネタバレも申し訳ないので、カバー記載の説明を転記すると、
代理母として生計を立てている良江は、かつて出産した息子を救うため、ある゛犯罪゛を企てる。そして始まる「身代金ゼロ!せしめる金は5億円」という前代未聞の誘拐劇!幼児虐待、オンライントレード、ES細胞、美容整形・・・現代社会の危うさを暴きつつ、一気に読める面白さ。予想を裏切り続けるノンストップ・誘拐ミステリー、ここに登場!
たしかに、このとおりだけれど、この「誘拐犯」グループのあたたかさというのが、この物語の大きな魅力となっていると思う。とくに、若い頃は美人だったが今では太って「誰も振り向かなくなった」良江の心の美しさ純粋さを描きながら、良江に惹き付けていくのはうまい。美人じゃない太った女性主人公という設定は良かった。
個々のエレメントについては、「このミス」の審査の段階で、すでにいろいろな評価がなされているようだが、私としては、ES細胞について若干、誤解もあるのかなと感じた。確かに受精卵から作る必要はあるのだけれど、そんなにたくさんの「株」を作る必要もなく、いくつもの受精卵からES細胞を作るという設定はES細胞に対する恐ろしさを助長することになりかねない。
日本はその宗教観の特異性から受精卵から作るES細胞にたいしての拒否感が欧米に比べ少ないのではと考えられており、このことにより、ES細胞の研究が進み易い土壌がある。この技術が日本のお家芸となるべく国民はやさしくバックアップしてあげるべきと考えている。
ところで、トーハンが「2007年 年間ベストセラー」を発表した。ノンフィクション系が強いですねぇ。楽しさよりも知識ゲット重視というところか。
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