アサを知らない世代へ
私も含めて、アサが栽培されているところなど見たことがない世代というのがほとんどだろう。しかも、栽培、所持ともに法律で禁止されているところから、関心のない人にとっては関心のない植物なのは仕方がない。
だが、私はアサカミキリという生物を通じてこの植物に大変関心があった。アサカミキリはアサを食草とするカミキリでアサが栽培されていた当時はアサの害虫であったという。で、アサが栽培されなくなって、最近は希少種である。アザミ、ヨモギなんかを食べて生きているらしい。私は、一度だけアサカミキリを見たことがある。このときは同行のカミキリ屋が採集したのだが、このとき以来、アサって何、という疑問をこころの引き出しにしまいこんでいた。
もう少し具体的にいえば、
- 繊維をとるアサと、大麻は同種の植物なのか
- 同じ植物だとすれば大麻が日本で栽培されいたのか
- 大麻が日本で栽培されていたのなら、大麻は普通に喫煙されていたのか
- アサは日本に自生の植物なのか
- 栽培されいたものが野外で生き延びているものはないのか
本書は、私がしまいこんでいたこれらの疑問すべてに的確に答えてくれたうえ、日本で大麻が禁止されるに至る経緯についても詳しく書かれている。
本書を読んで、特に思い出したのはケナフである。ケナフは紙の材料として一時やかましく言われたが、この本を読んでケナフよりアサだろうと強く感じた。贅沢を言えば、ケナフとアサの得失についても言及してくれれば、さらに満足感は高かったろうにと感じる。
読む前にはかなりショッキングな書名に見えるが、読み終わると、正しいタイトルだと納得できる。読む前と読んだあとでは、体のまわりに流れる空気が違ってくる、私にとってはそれほどのインパクトのある本であった。
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