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2009/08/09

旧海軍福知山航空基地ほか(2009.8.8)

福知山航空基地関係の遺構の情報が集まってくると無性に見に行きたくなって行って来た。ブログ等で告知もしたが結局は単独行。

旧海軍福知山航空基地

飛行隊指揮所

福知山航空基地関係でもっとも完全な形で当時のものが残っている遺構である。位置は事前に位置図があったので、これをGPSに落として探索したところ難なく見つけられた。当初森林の南側からアプローチしたが、北側からのほうが簡単。ヤブカがたくさんおり、半袖で望んだところふと見ると同時に5匹程度が吸血しており腕がぼこぼこになった。

Img_3708

入り口部。建物は左右まったくシンメトリックで左右に同じような入り口がある。開口部の高さが低く見えるが、これは土砂が堆積しているため。写真は東側入り口

Img_3720

こちらは西側入り口からの通路突き当たりで左に90度曲がる。入り口に堆積した土砂は1メートルくらいまで。土砂がなくなると水が10センチくらいたまっている。壁にカマドウマがいる。

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指揮所の内部。出入り口は両側に2箇所あるがそれ以外の開口部はない。よって真っ暗。やはり水が10センチくらいたまっている。

コウモリがいた。50頭程度のコロニーである。現地ではアブラコウモリだろうと思っていたが、帰ってきて写真を見るとキクガシラコウモリ。あるいはコキクガシラコウモリという線も捨てられない。いずれも京都府のレッドデータブックでは「絶滅寸前種」に指定されておりめずらしいコウモリである。特にコキクガシラコウモリであれば現在府内で2産地しか知られておらず新産地となるようなので種判定のため再調査したい。

完全な形でのこる遺構としての活用も考えられるが、希少種のコウモリの生息地として捕らえると、現状維持が望ましいと思う。また、多人数での入り込みは、とりわけ出産期(6月)や冬眠期(11月~4月)の入り込みは、コウモリの隠れ家放棄につながる可能性があり、さらにコウモリからの感染症の危険性もあるため、指揮所の見学会などの実施についてはこの点の配慮もお願いしたいところである。

なお、コウモリ保護の見地から、指揮所の位置はあえて地図に落とさなかった。

搭乗員待避所(地図B)

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搭乗員待避所は土地区に残されていたが、市の総合整備事業に伴って取り壊された。取り壊しに際し、地元が市に保存について働きかけ、一部が切り取られて日新地区公民館に保存されている。保存遺構のそばには石原飛行場に関する地図を含む説明版がある。

飛行機無蓋掩体跡(地図C)

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指揮所の北にあった盛土。おそらく無蓋掩体の一部なんだろう。

復旧記念碑(地図D)

Img_3686

滑走路跡は昭和27年までに農地に復旧された。この記念碑は農地への復旧を記念して建てられたもの。滑走路の東端にあたる戸田集落近くの農道交差点付近にある。

他に高竜寺山北麓に燃料庫跡が残るというが、今回は探索したものの見つけられなかった。

川西飛行機福知山工場(地図E)

昭和19年7月のサイパン陥落により本土空襲の恐れが出てきたので川西飛行機工場の疎開先のひとつとして福知山工場が建設された。
格納庫

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格納庫が現存するということで見てきたが、確実に納得できるものではない。確かにこの大きさは普通の工場ではなく航空機の格納庫サイズではあるが、内部のトラス組みなどを見ないとどの程度当時のものなのかに疑問が残る。

本部跡(地図F)

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現在のジャパンの場所が福知山工場の本部跡地であるというが、痕跡は一切ない。

地下工場跡(地図G)

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福知山市市寺にある採石場。ここが、地下工場跡地であるという。やはり痕跡はなさそう。

南土野町には半地下工場の基礎部が残るらしいが今回は確認できなかった。

小貝山高射砲台跡(地図H)

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綾部市小貝山の創造の森に福知山航空基地防空のため小貝山高射砲台があった。小貝山山頂にはあずまやが整備されているが、あまり利用されている感じはない。

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山頂にはくぼ地が何箇所かありこれが高射砲台の遺構なのであろう。

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山頂にあった三等三角点「私市」。標高は115.95 m。

旧佐賀村役場(地図I)

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現在の綾部市小貝にあるが、福知山市側の旧佐賀村役場を移築したものらしい。

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石に刻まれた「佐賀村役場」の銘。

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軒天の意匠は宮津市由良の浜野路公民館のものと同じだ。こういうパターンってあるのね。下は浜野路公民館の軒天。

Img_3352

旧綾部市農協佐賀連絡所(地図J)

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旧佐賀村役場のすぐ近くにある建物。現在は自動車屋の建物で車がたくさん置いてある。

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旧佐賀村役場とよく似た建物だが、特に軒天はまったく同じ。旧佐賀村役場が移築ならこれも移築なのだろう。

櫻湯(地図K)

Img_3728

ここからは、福知山市街地。べーさん情報によるものが多い。

櫻湯は大正期のものらしい。ファザードがモルタルがけっこう重厚な感じ。道の反対側にひいた位置からも「櫻湯」の表示は見えにくい。おそらく庇は後付けなのだろう。

生長の家福知山道場(地図L)

Img_3729

明治期の建物に洋館風を後付け。べーさんによると旧銀行ではとのこと。洋館風部分は大正期?

上柳町の町なみ(地図M)

Img_3737

音無瀬橋のたもとに位置する上柳町は旧山陰道が通るとともに、由良川水運の玄関口としても栄えた街であり、古い建物が軒を連ねる。

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これは北端に位置する治水記念館(地図N)。明治10年代の建物。展示にも興味があったが残念ながら時間が遅く閉館していた。

5代目音無瀬橋親柱(地図O)

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「昭和7年3月竣功」の銘がある。ゲルバー式コンクリート橋であった。親柱のみ移設保存されている。6代目はバスケットハンドル型ニールセンローゼ桁橋として平成7年3月竣工。

旧陸軍工兵第16大隊兵舎(地図P)

Img_3762

明治37年竣工。移築されて福知山成美高等学校校舎として利用されている。なかなかいい写真を取れる場所がない。ネット越しの写真。

堀村浄水場(地図Q)

Img_3771

昭和9年竣工。さりげないがしゃれた建物である。これも写真を撮るのに苦労した。

というわけで、半日で目いっぱい回った。当初は、マンドリンクラブの練習のついでのつもりだったのだけれど、くたびれ果てて、練習をさぼって帰ってきたという次第。


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コメント

石原飛行場の指揮所の遺構は思った以上に残りがいいですね。
さすが軍の壕だけあります。
しかし、一人で入るのは中々勇気が…
私もいずれ見に行きたいところですが、中に入るのに躊躇しそう。
きちんと整備して見学しやすいようにしていただければと思いましたが、
絶滅寸前種のコウモリがいるとは驚き。
コウモリの巣になっているのは記事で読みましたが。

地元の人は多分知らないと思います。
こうして記事に出てくる以上は恐らく見学者も増え、退避壕を残そうと尽力された地元の方々ですから、
もしかすると、指揮所の整備とか考えてらっしゃるかもしれません。
私の実家の近くでマツカサガイを見つけたときに京都府自然環境保全課に連絡しましたが、
このコウモリも連絡された方がいいかもしれません。
とくにこのコウモリが絶滅寸前種であるならば。

佐賀村役場は貴重な建物と思ってます。このあたりに村役場など役所関係の近代建築は
数少ないですから。

コメント修正できないので補足訂正。

>>地元の人は多分知らないと思います
コウモリがいることは知っていると思いますが、希少種であることは知らないでしょう。

>>こうして記事に出てくる以上は恐らく見学者も増え、
新聞記事の方です。

コメントありがとうございます。

コウモリについてはコウモリの会と連絡を取っています。京都府よりも福知山市とのコネクションがほしいところ。とりあえず、種の同定が先決かなと思っています。

コウモリの会からはキクガシラコウモリかコキクガシラコウモリのいずれかだと思うとの返事が得られました。これらは、いずれも京都府のレッドデータブックで「絶滅寸前種」に指定されています。しかし、希少種だからということで府の自然環境保全課に連絡すれば、保護を前提とした圧力が指揮所保全をしている団体にかかってくるでしょうし、それはよそものとしての私が彼らを引っ掻き回すことになり、望ましいことではないと思います。

どういう方向性を選ぶかは地域の人で決めてほしいと思います。

ということで、ここは、両丹日日新聞に電話して、指揮所に絶滅寸前種のコウモリがいることを伝え、中立の立場から、地域の人にこっそりとそのことを伝えてほしいとお願いしました。彼らが、指揮所の整備や公開を選ぶのならそれはそれで彼らの選択です。コウモリのことは私の胸にしまっておこうと思います。でも、おそらくはそうはならないのではと期待しているところです。

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