JR姫新線 高梁川橋梁
まだまだ、新見の話。新見の街中にある姫新線の高梁川橋梁(地図A)である。1928年完成。
かなりカーブしている橋である。プレートガーター橋である。橋脚はコンクリート。豊岡市のKTR旧円山川橋梁は1929年で石積であったことから見るとやや先進的とも見える。しかし、座屈防止補鋼材が[型をしているのでこの橋梁はポーナル型プレートガーター橋に分類できる。ポーナル型はイギリス人技師チャールス・ポーナルが設計した型式で、1889年ごろの作錬式と1897年の作30年式と呼ばれる型式の2種があるがいずれも明治の型式である。岡山県では津山線に多くみられるが、1928年の高梁川橋梁にこの明治の型式が使われていることは不思議でさえある。
プレートは例によってペンキがコペコペに塗り込めれていてほとんど読めないが、「昭和三年 卯契橋807號 活荷重E30 鐵道省」と読めるらしい。このE30というのはクーパー荷重と呼ばれるもので、1909年に初めてクーパー荷重によるE33という基準が設定された。高梁川橋梁はE30という少し低荷重の基準を使っているものの、明治末期のアメリカ式の先進的な設計基準と明治中期のイギリス式の古臭いポーナル型という型式のおかしなハイブリッドがなされているのである。
(写真はいずれも2011.7.26撮影)
1912年竣工の旧余部鉄橋はクーパー荷重E33を用いて設計されている。E33制定は1909年6月17日、旧余部鉄橋着工は同年12月16日でこの点では整合性はあるが、三浦, 岡村(1912) にある構造図に"March 1909"の書き込みがあり、旧余部鉄橋はややフライング気味にE33を使って設計を始めていることがわかる。つまり旧余部鉄橋はクーバー荷重を用いた最初の鉄橋のひとつであると言えよう。三浦次郎, 岡村信三郎, 1912. 山陰鉄道餘部高架橋工事概況. 工学会誌, 350: 167-176.
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