KTR但馬三江駅の改修工事が終わり、本日「オープニングセレモニー」が開催された。市長あいさつをはじめ来賓の挨拶も聞いたが、単に駅舎がきれいになってよかったねという趣旨で、駅舎の今後の活用についての提言がなかったのは残念であった。
そんな中、珍客発見。舞鶴高専の前学生会副会長の上坂(こうさか)君だ(写真左。写真右は某T氏)。彼は、舞鶴高専の最寄り駅であるJR小浜線松尾寺駅や、KTR丹後由良駅で駅舎がらみのイベントを打ってきた立役者である。舞鶴高専と駅舎イベントの妙な関係をたどりながら、但馬三江駅の今後の活用方策について考えてみたい。
JR小浜線松尾寺駅の事例
写真のいかにも駅舎に見える建物は駅舎ではない。舞鶴市松尾寺駅前観光交流施設という。この建物は、もと松尾寺駅(無人駅)の駅舎であったが、2008年、JRが駅舎を舞鶴市に無償譲渡。舞鶴市は2008年度に1400万円かけて改修工事を行い、2009年4月にオープンさせた。建物は1センチも動いていないが、この建物は駅前の市の施設ということになる。
で、この施設は指定管理者制度を採用しており、指定管理者にNPO法人「駅舎とともにいつまでも」が収まった。「駅舎とともにいつまでも」は、地元住民と舞鶴高専で組織した団体。この地域には、志楽ダイヤモンド協議会という地域団体があり、舞鶴高専は、この団体と松尾寺駅舎の清掃など、ゆるーくつながりを維持してきた。NPO法人に地元だけでなく舞鶴高専を入れ込んだのは慧眼であろう。
このNPO法人は、いままでに、昨年4月の「オープニングイベントと、同7月の夕涼みコンサートと少なくとも2つのイベントをこなしている。
オープニングイベントの様子(舞鶴高専のサイト)
夕涼みコンサートの様子(志楽ダイヤモンド協議会のサイト)
よーするに、舞鶴高専の学生を呼んできてなんかやらせるという安直なイベントといってしまえばそれまでだが、地元からのなにかお祭り騒ぎをしたいという要求が舞鶴高専に届き学生がそれに応えるということができる枠組みがあったということが重要であろう。そして、高専内のとりまとめを行ったのが上坂副会長なのである。
KTR丹後由良駅の事例
丹後由良駅は、松尾寺駅とは異なり、駅舎はKTR所有で普通の駅舎である。簡易委託駅という位置付けで駅業務を由良舎楽という団体に委託している。舎楽は、駅舎内で売店や喫茶もやっており、比較的にぎやかな感じの駅である。由良舎楽の詳細はよく知らないが、コミュニティービジネスという路線なのかも。
由良舎楽は、いままでにもいろんなイベントを行ってきたが、昨年夏には、舞鶴高専をフィーチャーした「7/20海の日!由良舎楽&舞鶴高専イベント!KTR丹後由良駅フェスタ2009!!」を行った(当ブログで既報)。
写真はイベントでMCする高専生。一番左が上坂君。
で、但馬三江駅は
で、但馬三江駅について考えると、この駅舎は、松尾寺駅のように(豊岡市は補修費は捻出したが)駅舎は市の所有ではないし、もともと無人駅であるため、丹後由良駅のように委託する業務もない。
しかし、7日付神戸新聞によると「コウノトリの郷駅応援団」というものが結成され、今後の駅活用の母体となるようだ。近隣の三江小学校やコウノトリの郷公園を巻き込んでいろいろなイベントが打てると楽しい。「郷」のパーツの一つとして駅も組み込んで欲しい。
応援団と駅のつながりが、上述2駅とくらべて緩やかなつながりなのが若干気がかりではあるが、駅の自由な利用が保証されていれば、かえって自由度の高い活動ができるのかもしれない。このような仕組みは前例があまりないのかもしれないけれど、駅の活性化についての新しい形として成功して欲しい。
豊岡市が600万円も出して松尾寺駅のように市有化しなかったのは、今後の駅舎の管理はKTRということになるのか。駅舎の物理的な持続可能性を考えるとこの点が若干気がかりではある。
それにしても、但馬三江駅はさびれすぎた駅だ。駅周辺も駅前の匂いがない。駅前の集落は駅を忘れてしまったような風情である。駅が綺麗になっても、ここのところはかなり苦しい点である。
そこで、但馬みえちゃんだ!
すでに当ブログでも紹介したトミーテック鉄道むすめの新キャラ但馬みえちゃんのサンプルが但馬三江駅の片隅に展示されていた。権利関係がむずかしく、鉄道むすめを地域おこしに活用するのは難しそうだが、その難関を乗り越えてキャラクターを活用している事例はかなりある。
昨年秋には「全国鉄道むすめサミット」が岩手県で開催された。テーマは「カワイイが地方を救う~カワイイもの・ことを地方から発信しよう」。サミットには岩手県知事も出席。ポスト「ゆるキャラ」は「萌えキャラ」か。
サミットが岩手県で開催されたのは岩手県の三陸鉄道が鉄道むすめ活用の先進地だからのようだ。三陸鉄道ではでは、久慈ありすのショコラ2010、クリアファイル、久慈ありす&釜石まなてぬぐいなどの三陸鉄道オリジナルグッズのほか「三鉄の掘り出し物&鉄道むすめ&久慈の旨い物 トリプル嬉しい“さんてつ祭り”」(サミット前夜祭を兼ねたようだ)を開催している。
東武鉄道沿線の栗橋町では栗橋みなみをあしらった純米酒「みなみ」とミネラルウォーター
函館市交通局は2009函館開港150周年記念乗車券に柏木ゆのをプリントしたオリジナルのキーホルダーを添付。
グッズ系であれば、かなりの事例を拾う事ができそうだ。
「カワイイが地方を救う~カワイイもの・ことを地方から発信しよう」
さて、但馬みえちゃんを最初に活用するのは誰だ!
最近のコメント