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書籍・雑誌

2013/08/04

ジュール・ヴェルヌ著 安東次男訳 「ジャンガダ」

講釈師、見てきたように嘘を言い。これは、ジュール・ヴェルヌへの賛辞であろう。

「八十日間世界一周 」はもちろんのこと、「地底旅行」ではアイスランドを、「アドリア海の復讐」ではトリエステやアドリア海東部というかなりツボなエリアを、「地の果ての灯台」ではマゼラン海峡を、そして「グラント船長の子供たち」ではなんと南緯37度線にそって世界一周とジュール・ヴェルヌの魅力はありえない旅行記であることは論を待たないであろう。もちろん彼自身そこを訪れたはずもなく、あくまで資料に支えられた「空想」旅行ではあるのだが、史実や文献もちらつかせながらうまく「見てきたように嘘を言」う手口は巧妙である。とくに、19世紀にこれを読んだ人は、これらの地域に関する情報が今以上に得にくく、驚きや楽しみも大きかったであろう。

で、アマゾン川下りである。「ジャンガダ」とは筏のことである。長さ300mの巨大な筏での悠々たる川下りだ。

1部と2部にわかれているが、1部はアマゾン川下りが中心で、話の本筋は遅々として進まない。話の筋を早く追いたい者としては、イライラするのであるが、この焦燥感は、むしろヴェルヌの仕掛けた「退屈なアマゾン川下り」のリアリティなのかもしれない。

2部に入って急転直下、話はどんどんと進むが、これはむしろ今まで焦らされていたからこそ、話のテンポが心地良いのかもしれない。

主人公の無罪立証のための証拠物件が暗号化された文書であったという大変わかり易いストーリーであるが、暗号解読の結末に至るまでの伏線の妙が素晴らしく、ヴェルヌ作品のなかでもストーリーの面白さでは秀逸な作品の一つであろう。暗号文書は「地底旅行」でも出てくるが、「地底旅行」では、暗号文書はごくごく脇役であるが、「ジャンガダ」では、いきなり暗号文書から始まり暗号文書は主役となっている。

1部が若干退屈かも知れないが、2部での話の展開は素晴らしく、オススメのヴェルヌ作品である。この安東訳本は1969年に発売されたものの復刊。


2009/12/03

「科学」と「学習」休刊

ついにこのときがやってきた。学校を追い出された「科学」と「学習」は配達販売のような形態をとっていたようだが、ついに今年度いっぱいで休刊となることが発表された。

私が小学生時代は、「科学」も「学習」も注文により学校で配布されるというシステムで、私はもちろん「科学」派で、あの過激な「ふろく」に振り回された経験を持つ。

パラボラ式の反射鏡で目玉焼きを焼いたり、二酸化マンガンで過酸化水素水から酸素を作ったりなど、かなり過激な付録であったが、私にとって一番のエポックメーキングは針穴写真機であった。ちょうど、ブローニ版の蛇腹写真機くらいの大きさのプラスチックの筐体に、アルミ箔に自分で針穴をあけ、そしてフィルムはモノホンのブローニ版のフィルムを使うという今考えても素晴らしくすっとんだカメラであった。

もちろんフィルムは同梱されない。買ってこなければならない。35mmをすっ飛ばしてブローニである。なんとか資金は工面し、近所の写真屋に買いに行った。子どもがブローニ版のフィルムを買いにきたのである。当然、写真屋のオヤジにも目をつけられる。で、長時間露光の写真を取りまくり。家の近くの国道1号線の歩道橋の手すりにカメラを固定し、車の写らない国道の写真を数枚、あとは何を撮ったのだろうか。そして、フィルムを買った写真屋にフィルムを出した。現像と密着写真を注文したのだと思う。

で、結果は、私としてはかなりうまく撮れていたと思える出来だった。しかし、写真屋のオヤジに言わせると、全般的に露光が足りない、どんなカメラで撮ったんだという話になり、針穴写真機だと説明し、現物も見せた。現物を見たときの写真屋のオヤジは目が点になっていた。それ以来、その写真屋のオヤジとは懇意になり、中学のころには、「子供の科学」の写真コンテストで、1位を1回、2位を2回取るということになるのではある。

「科学」がなくなろうとしている今、もはや、こういう変わった子どもは生まれてこないかもしれない。末期の「科学」には当時の精彩はない。なくなることはそんなに大きな変化ではないのかもしれない。でも、なにかを失った気分だ。なにかとはなにか。


2009/11/03

9条連やまぐち編 「舞鶴に学ぶ 平和額集会講演録」

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11月1日に関本さんから購入した講演録。関本さんの火薬廠に関する講演をはじめ、浮島丸事件や引き揚げのことなどの講演録で、舞鶴における戦争の歴史が俯瞰できる。下関においてこのような冊子が発行されているというのが意外な感じではあるが、私としては下関のPodcast局「くりらじ」のリスナーでもあり下関と聞くと親近感がある。9条連というからにはやや左寄りか。

ところで、この冊子のこの写真。

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こちらの私の写真のパクリである。

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おお、私の写真もパクられるまでになったかとやや感動しながらも(笑)、プロフィールにメールアドレスを掲載しているのだから、メールのひとつでもいただけたらなぁと、残念。

2009/07/09

アサを知らない世代へ

私も含めて、アサが栽培されているところなど見たことがない世代というのがほとんどだろう。しかも、栽培、所持ともに法律で禁止されているところから、関心のない人にとっては関心のない植物なのは仕方がない。

だが、私はアサカミキリという生物を通じてこの植物に大変関心があった。アサカミキリはアサを食草とするカミキリでアサが栽培されていた当時はアサの害虫であったという。で、アサが栽培されなくなって、最近は希少種である。アザミ、ヨモギなんかを食べて生きているらしい。私は、一度だけアサカミキリを見たことがある。このときは同行のカミキリ屋が採集したのだが、このとき以来、アサって何、という疑問をこころの引き出しにしまいこんでいた。

もう少し具体的にいえば、


  • 繊維をとるアサと、大麻は同種の植物なのか
  • 同じ植物だとすれば大麻が日本で栽培されいたのか
  • 大麻が日本で栽培されていたのなら、大麻は普通に喫煙されていたのか
  • アサは日本に自生の植物なのか
  • 栽培されいたものが野外で生き延びているものはないのか

本書は、私がしまいこんでいたこれらの疑問すべてに的確に答えてくれたうえ、日本で大麻が禁止されるに至る経緯についても詳しく書かれている。

本書を読んで、特に思い出したのはケナフである。ケナフは紙の材料として一時やかましく言われたが、この本を読んでケナフよりアサだろうと強く感じた。贅沢を言えば、ケナフとアサの得失についても言及してくれれば、さらに満足感は高かったろうにと感じる。

読む前にはかなりショッキングな書名に見えるが、読み終わると、正しいタイトルだと納得できる。読む前と読んだあとでは、体のまわりに流れる空気が違ってくる、私にとってはそれほどのインパクトのある本であった。

2008/12/29

もやしもん7巻 やっぱ近代化遺産萌え?

「もやしもん」って農大内にある石造アーチ橋など、近代化遺産ちっくな建造物が続出だ。また、作者は、必要以上に緻密にこれらを描いている。で、7巻は・・・。

このコミック、ページ数が振られていないが、82話の最初のページがすごい。これって、神戸で見た明治の下水渠そのまんまだ。写真再掲。
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ところが、85話の最後から5ページ目では、スプリングラインから下がコンクリート(あるいはモルタル塗り)になってかなりグレードアップ?

いやあ、いろいろと楽しませてくれる。


2008/12/24

住民の目線で記録した旧日本海軍第三火薬廠

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今度の土曜日は息子と2回目の第三火薬廠探検を予定しているが、たまたま、ヤフオクにこの本が出ていて、無事落札。出品者に無理をいって、本日入手できた。ありがとうございます。

この本には、巻末に、第三火薬廠の施設配置図が掲載されており、現地調査の大きな参考となる。こういう本を出版された努力にも感謝。

本書は、著者の関本さんが再版されており在庫あるようです。ご希望の方は、メール等で私までお知らせください。メール->egf@nifty.com

2008/12/23

建築MAP大阪/神戸

神戸の近代化遺産についてのまとまった書籍ってないなぁといろいろと探していると、こういう本に出会い、かなり妥協しながらではあるが購入した。

妥協した点とは、

  • 近代化遺産だけでなく、現代建築も扱っている。というか、おもしろい建築を列挙した本。
  • 持ってうろうろするにはかなり大きくて厚い本。
  • 件数がそう多くなく、近代化遺産的ではなく建築的視点からの取捨選択がなされているようだ。

ま、最初の点については、好ましいことかな。2番目の点については、コピーで凌ぐべきだろう。

というわけで、とりあえずは満足しているほうかな。ほかの地域のも買おうかなと思っているところ。

2008/11/01

本2冊 「天の橋立遊覧案内」、「『超科学』をきる」

アマゾンのマーケットプレイスとヤフオクで本を1冊ずつ購入。

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天の橋立遊覧案内
明治44年発行大正2年訂正再版というパンフレットでヤフオクで2千円。パンフというには少し量があるが、本というには薄すぎという厚さ。山陰線開通時ころのものとして興味があったので購入。分析中(笑)。


テレンス・ハインス 「超科学」をきる
ニセ科学本の元祖であり入門書。とりあえずはこれは読んどかないとねという本らしいので、マーケットプレイスで320円くらいで購入。定価は2800円。月と人間の関係についても書かれている。月の重力なんて人間に関係するわけないだろと。うーん、潔い。「新月伐採」に疑いを持つ私としては、心地よい。


2008/05/09

フィールドサロン 創刊号

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蝶の新しい雑誌が創刊されたようで、PRとして自宅に創刊号が送られてきた。ま、しかし、2008年4月号ということで、もう少し前に読みたかったギフチョウ関連の記事が載っていたりする。

昨年12月をもって解散した蝶研出版の「蝶研フィールド」の後継誌のようだが、手際のよさに驚くばかりというのが正直な所だ。北海道の日本蝶類研究会というところが発行している。残念ながら私自身は蝶にどっぷりという訳でもなく、環境指標としてギフチョウなどを定点観察している程度だし、「月刊むし」のブラックバス関連の記事のような昆虫に捕われないナチュラリストの活動などは創刊号には見当たらなかったので、購読に至ることはないだろう。

ちなみに、5月と1月を除く年10回の発行で年間購読料(会費)が10,000円。オールカラーの48ページ。

日本蝶類研究会

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2008/05/06

「鹿男あをによし」と「坊ちゃん」

「鹿男」のテレビが終わってから、また、「坊ちゃん」を読み直して、2つほど気がついた。

一つは、堀田の名前であるが、「坊ちゃん」の山嵐の名前が堀田なのであった。ううむ、これは、きわどいところなのだけれど、関連がないこともないのだろう。

それと、「坊ちゃん」の5節の冒頭は、こんな書き出しで始まる。

君釣りに行きませんかと赤シャツがおれに聞いた。

これって、小川がリチャードにゴルフに誘われるところまんまの文章だ。そうか、「坊ちゃん」の釣りと「鹿男」のゴルフは対応している訳だ。これは、読み直すまで全く気がつかなかった。

というわけで、私としては新知見2つ。

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