アツミカンアオイに関するメモ
但馬産のカンアオイについては、いままで、このブログではカンアオイ、あるいはカンアオイの変種のサンインカンアオイという名を使っていたが、最近、但馬産カンアオイをアツミカンアオイと称する向きがあることに気がついた。
但馬地域に生息するカンアオイを最初にアツミカンアオイとしたのは、武田久吉さんという植物学者で、サンインカンアオイがどうも未記載らしいということもあり、人と自然の博物館や神戸大学では、但馬地域に生息するカンアオイをアツミカンアオイとしている。
一方、但馬に産するカンアオイを種カンアオイの基亜種の変種サンインカンアオイであるという考え方は、アマチュアの植物やっているひと(山野草愛好者含む)や、昆虫系(とくにギフチョウ)をやっている人に広く受け入れられているが、このサンインカンアオイは学名を持つものの、記載が不確かで、未記載の可能性が高い。
サンインカンアオイが未記載であれば、アツミカンアオイであるとする方が合理的ではある。ただし、種カンアオイとサンインカンアオイは変種の関係だが、種カンアオイとアツミカンアオイは別種となる。
つまり、サンインカンアオイ説を採るのであれば、種カンアオイの変種なのだから「カンアオイ」と称するのはまちがいではないが、アツミカンアオイは種名でカンアオイとは別種なのだから、アツミカンアオイ説を採るのであれば「カンアオイ」という呼び方は許されず「アツミカンアオイ」と称さなければならない。
過去には、アツミカンアオイはカンアオイの亜種とされていた時期もあり、そのころならば、サンインカンアオイを採るよりアツミカンアオイという考え方はアリだっただろうが、アツミカンアオイがカンアオイと別種であるという現在では、若干、但馬産カンアオイをアツミカンアオイとするのは若干苦しいような気もする。
いずれにせよ、カンアオイ類の分類はかなりひずみが生じているということは否めず、大鉈を振るう再整理が待たれるところである。
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